ギターを手に取った瞬間は、これから演奏する姿を想像してワクワクしたことでしょう。
好きなアーティストの音色を自分の手で再現できるかもしれない、仲間と音楽を分かち合えるかもしれない…。そんな期待で胸が高鳴りますね。
しかし現実は、数日も経たないうちに「思ったより指が動かない」「コードチェンジで曲が止まってしまう」といった“壁”にぶつかることも多いものです。なかでも「コードチェンジの壁」は、初心者だけでなく、ある程度弾けるようになった人にとっても避けて通れない課題です。
でも――大丈夫。壁にぶつかることは、成長の第一歩。正しいアプローチと自分に合った練習法を見つければ、誰でも必ず乗り越えられます。この記事では、特に初心者に多い、コードチェンジがうまくいかずに悩んでいる方に向けて、具体的なコツや練習法、メンタル面の工夫、そして日常生活への応用まで、幅広くお伝えします。
コードチェンジをスムーズにするための9つの基本テクニック
1 | 共通する指・ポジションを活かす | コード同士で同じ位置を押さえる指がある場合は、その指を弦から離さずキープしましょう。 たとえば「C→Am」や「G→G7」などは共通指を活用することで、移行がぐっとスムーズになります。 |
2 | 指を一斉に動かす意識を持つ | 1本ずつ動かすのではなく、3本まとめて“セットで動かす”練習を意識すると、スピードと正確さが格段にアップします。 |
3 | コードの形を視覚と感覚で覚える | コードフォームを、見た目と“指の感覚”の両方で覚えることが大切。 目を閉じても押さえられるようになれば、ステージでも安心です。 |
4 | コードチェンジのタイミングを意識する | リズムを止めず、1拍目にピッタリ着地できるように。右手のストロークをキープしながら練習することで、演奏の流れが自然になります。 |
5 | 指を大きく離さない | 指の移動距離は最小限に。弦から必要以上に離さないようにすると、素早いチェンジがしやすくなります。 |
6 | ゆっくりしたテンポで繰り返し練習する | 最初はメトロノームを使い、ゆっくりしたテンポで丁寧に。慣れてきたら徐々にテンポを上げていきましょう。 |
7 | 苦手なコードは個別に重点練習 | つまずくコードは、その組み合わせだけをピックアップして集中練習することで、苦手意識がなくなっていきます。 |
8 | 空中で次の形を作る | コードを離した瞬間に、空中で次の形を準備する意識を持つと、指が迷わずスムーズに動きます。 |
9 | 開放弦を活用する | コードチェンジのタイミングで開放弦を鳴らすと、音が途切れず自然な流れが生まれます。(ただし、開放弦の音が次のコード進行に合っているかどうかは注意が必要です) |

このように、コードチェンジをスムーズにする方法はいくつかあります。これらの方法を複数組み合わせたり、一つずつクリアしていったりしながら、ご自身のペースで練習を進めてみてください。
また、コードチェンジをスムーズにするための練習法を、さらに以下にご紹介しますので、ぜひ日々の練習に取り入れてみてください。
脱・型通り!表現力と感覚を磨くコードチェンジ練習法

ここからは、“コードチェンジをスムーズにするための9つの基本テクニック”では紹介されていない、さらに一歩踏み込んだアプローチを取り入れます。
ここまでご紹介したのは、ギターを始めたばかりの方や基礎を固めたい方にとって効果的な、一般的かつ実践的なコードチェンジのコツです。しかし、さらに一歩進んで「より自由に」「より表現豊かに」ギターを弾きたい方には、次にご紹介するような、動きや感覚、心のあり方にまでアプローチした発展的な練習法が大きな力になります。
これらの方法は、単なる指の動きやフォームの習得にとどまらず、演奏全体の流れや音楽的な表現力、メンタル面までを視野に入れた“さらに深いレベル”のアプローチです。基礎を身につけたその先で、自分らしい音楽表現や演奏の楽しさを広げていくためのヒントとして、ぜひ取り入れてみてください。
コードフォームを“動画”でイメージする | フォームを写真のように静止して捉えるのではなく、指が動いていく“連続の動き”で考えてみましょう。 ダンサーが振付を覚えるように、流れごと体に覚え込ませるのがコツです。 |
手首や爪の向きにも注目 | Fコードなどのバレーコードは、手首の角度や親指の位置で押さえやすさが大きく変わります。指の“腹”ではなく“先”で押さえるよう意識すると、音もクリアに。 |
指をチームとして動かす意識を持つ | GからCへ移動する時など、セットで動かせる指は“同時に着地”を目指しましょう。 |
目を閉じて指の感覚で弾く | 視覚に頼らず、感覚だけでチェンジする練習を取り入れると、運指が安定してきます。 |
コード進行を“物語”として体感する | コード進行はただの形の並びではありません。 例えば「C→Am→F→G」は、朝から夜までの一日のような物語だと思ってみてください。 それぞれのコードに“役割”や“感情”を持たせることで、自然な流れが生まれていきます。 |
コードシャッフル練習 | ランダムなコードを組み合わせてチェンジする練習。ゲーム感覚で続けられます。 |
ストップ&ゴー練習 | 一度ストロークを止めてフォームをチェック。録画して自分の動きを見返すのもおすすめ。 |
リズムチェンジメソッド | 8ビート、16ビート、シャッフルなど、いろいろなリズムで練習することで対応力が高まります。 |
心と指をつなげる:メンタルアプローチ | ギターは心の状態にも左右される楽器。パフォーマンス心理学の考え方もぜひ取り入れてみましょう。 |
リラックスルーティン | 練習前にストレッチや深呼吸を行うことで、無意識の緊張をほぐせます。 |
イメージトレーニング | ギターを持たずにコードチェンジを頭の中でシミュレーションするだけでも効果があります。 |
失敗をポジティブにとらえる | 「ミスは成長の種」と思えば、挑戦を恐れずにいられます。 |

コードチェンジがスムーズにできるようになると、途端に初心者っぽさがなくなりますよね!
なぜコードチェンジは難しいのか?【原因を深掘り】

上達するには、まず“できない理由”を知ることが大切です。
コードチェンジが難しいと感じるのは、次のような原因があります。
★指先の筋力や柔軟性がまだ足りない
最初は思うように指が動かなくても、地道に練習を重ねていけば、少しずつ指が思い通りに動くようになってきます。
★複数の指を同時に動かす経験が浅い
新しいことに挑戦するのですから最初は思い通りに動かなく当然です。コードチェンジは、一瞬で複雑なパズルを組み直すようなもの。繰り返すことで“感覚”が育ちます。
★コードフォームを“図”として覚えがち
見た目のダイアグラムではなく、「動き」として覚えることが本質的な理解につながります。「動き」として覚えるとは、コードを押さえる手順や指の動かし方、チェンジの流れを体感的に記憶することを意味します。例えば、「CからGに移るときは薬指をここにスライドさせて…」といったように、運動としての一連の流れを反復練習で身につけることです。

ギターを始めた頃は、コードチェンジどころか、一つのコードを押さえるだけでも悪戦苦闘…。
弾ける人たちが、まるで簡単そうに、しかも手元も見ずにスムーズにコードチェンジしているのを見て、「この人たち、どえらいことやってる…!」って本気で思ってました。
よくある悩みとその解決策
Q.指がつりそうになる | A.無理せず休憩・ストレッチを入れながら練習する |
Q.リズムが乱れる | A.メトロノームを使ってテンポを一定に保つ |
Q.苦手なコードがある | A.そのコードだけを分解して集中的に練習する |
Q.バレーコードが押さえられない | A.手首の角度や親指の位置を調整する。 |
Q.指が短い・手が小さい | A. 無理のないフォームを模索することが大切 |

分かっているつもりでも、実際にはできていない方も多いのではないでしょうか?今一度見直して、気持ちを新たに練習に取り組んでみてくださいね!
日常生活でもできる“ながらトレーニング”

ちょっと番外編のような練習になりますが、遊び感覚で気軽に試してみてください。暇つぶし程度の気持ちでOKです!
・ペン回しや洗濯バサミを使った指トレ
・ゴムボールやハンドグリップで握力アップ
・スマホのフリック入力を指ごとに変えてみる
・家事や料理中も指先の使い方を意識する
日常生活の中で気軽に取り組める“ながらトレーニング”は、ギターの練習を特別な時間に限定せず、普段の生活の延長として指先の力や柔軟性を高めることができるユニークなアプローチです。こうした遊び感覚の動作でも、ギター演奏に必要な指の独立性や筋力は自然と鍛えられていきます。
モチベーションを保つコツ
・練習を録音,録画して自分の成長を実感する
・SNSや仲間と進捗をシェアして励まし合う
・明確な目標(弾きたい曲)を設定する
・小さな成功を記録して、前向きな気持ちをキープする
・たまには演奏を休んで、音楽を“聴く側”に回ってみる
気負わず楽しむギター練習――私のリラックス流上達法
ギターを始めた頃、思うように指が動かず、何度もため息をついた経験がありました。なかなか上達しないもどかしさもありましたが、今振り返ると、その「できない時間」もギターと向き合う大切なプロセスだったと感じています。
私の場合、「まぁ、いっか」と気楽に構えることを心がけていました。スキマ時間に5分や10分だけ、気になるコードやチェンジを軽く練習する――そんな“ついで”のような感覚でギターに触れていたのです。気負わず続けていたおかげか、気づけば「あれ?できるようになってる?」と自然に上達していました。
ギターは、私にとって日常の合間にリラックスできる存在であり、気分転換や遊びのような感覚で楽しめるものでした。そのため、練習に対してプレッシャーを感じることも少なかったと思います。
また、ギターを持っていない時も、頭の中でコード進行やチェンジの流れを思い浮かべてみたり、イメージトレーニングをしていました。こうした無意識の積み重ねが、いつの間にか演奏に活かされていたのだと思います。
コードの形を“写真”のような静止画で覚えるのではなく、“動画”のように流れの中でイメージし、指先をバラバラではなく「ひとつのチーム」として動かす――そんな感覚をつかめると、ギターはさらに面白くなります。何よりも、「楽しみながら続ける」ことが、上達への一番の近道だと今は実感しています。
まとめ:自分らしい練習法で乗り越えるギターの壁
コードチェンジの難しさは、誰もが通る道です。最初は思い通りにいかず、音が途切れたり、指がもつれたりすることもあるでしょう。でも、そこで諦めずに、小さな工夫や自分なりの練習法を積み重ねていけば、必ず乗り越えられます。
大切なのは、「自分だけのやり方」を見つけることと、「小さなできた!」を積み重ねていくこと。毎日少しずつギターに触れたり、苦手なコードを繰り返し練習したりするうちに、ふと気がつけばできるようになっているものです。ギターを義務にせず、遊びや息抜きのように取り入れることで、長く続けられるはずです。
また、コードチェンジも静止した形で覚えるのではなく、動きや流れとして体で覚えること、指を「ひとつのバンド」として連携させる意識を持つこともポイントです。うまくいかない時期があるからこそ、できた時の喜びも大きくなります。
音楽は、上手に弾くことだけが目的ではありません。あなたがギターで奏でる音には、あなた自身の物語や感情が自然と表れます。小さな一歩を重ねて、自分だけのギターライフを楽しんでください。あなたのギターの音色が、誰かの心に届く日が来ることを、心から願っています。これからも、音楽とともに、あなたらしい歩みを続けていきましょう。
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