アコースティックギター(アコギ)を選ぶとき、「カッタウェイ仕様は必要なのか?それとも無くてもいいのか?」と迷う方はとても多いです。
カッタウェイは、ギターのボディ上部がえぐられた独特の形状で、見た目のインパクトだけでなく、演奏性や音質にも大きく関わる重要な要素です。
この記事では、カッタウェイの有無による違い、メリット・デメリット、選び方のポイント、さらには実際の使用感や購入時の注意点まで、幅広く詳しく解説します。
初めてアコギを購入する方のヒントになれば幸いです。
アコギのカッタウェイは「必要」か「不要」か?結論は…
まず結論からお伝えすると、「カッタウェイは必ずしも必要ではありません」。
カッタウェイ最大のメリットは、ハイフレット(高音域)へのアクセスが格段にしやすくなることです。
しかし、アコースティックギターの演奏ではハイポジションを多用する機会は意外と少なく、ほとんどの曲やプレイスタイルではカッタウェイ無しでも十分に楽しめます。
実際、プロのアーティストでもカッタウェイ無しのギターを愛用する人は多いです。
つまり、カッタウェイの有無は「自分の演奏スタイル」や「見た目・デザインの好み」で選んでOKです。
無理にカッタウェイ付きにする必要も、逆に避ける必要もありません。
アコギのカッタウェイ仕様の基礎知識

では、カッタウェイとはいったい何なのか、なぜわざわざ作ったのか探ってみましょう!
カッタウェイとは?
カッタウェイとは、アコギのボディ上部(通常はネックの下側)が大きくえぐられているデザインのことです。
これにより、12フレットや14フレット以降のハイポジション(高音域)が押さえやすくなります。
特にソロやリードプレイ、フィンガースタイルで高音域を使いたい場合に重宝されます。
カッタウェイの種類

ベネチアンカッタウェイ(左)とフローレンティンカッタウェイ(右)
カッタウェイには主に2種類あります。
種類 | 特徴 | 外観イメージ |
---|---|---|
ベネチアンカッタウェイ | 丸みを帯びた滑らかなカーブ | 柔らかく上品 |
フローレンティンカッタウェイ | 先端が鋭くシャープな形状 | 洗練されてモダン |
カッタウェイのメリットをさらに詳しく
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ハイポジションの演奏性が大幅に向上
12フレット以降の高音域が押さえやすくなることで、ソロやリードプレイ、フィンガースタイル奏法が格段にやりやすくなります。特にジャズやボサノバ、フュージョンなどのジャンルでは、ハイポジションを活用したコードやメロディが多く、カッタウェイの恩恵を強く感じるでしょう。 -
演奏の幅が広がる
高音域を使ったアレンジや、難易度の高いテクニカルなフレーズにも挑戦しやすくなります。ライブやレコーディングで「ここぞ!」という場面で高音域を使いたい場合にも便利です。 -
ステージ映え・デザイン性
カッタウェイのあるギターは見た目がスタイリッシュで、現代的な印象を与えます。ライブや動画撮影でも映えるため、パフォーマンス性を重視する方にも人気です。 -
エレキギターからの持ち替えもスムーズ
エレキギターに慣れている方は、カッタウェイ付きアコギの方が違和感なく演奏できる場合が多いです。エレキとアコギを両方使う人にもおすすめ。
カッタウェイのデメリットをさらに詳しく
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音量・響きがやや劣る傾向
ボディの一部が削られることで共鳴空間が減り、音量や低音域の響きが控えめになることがあります。特にストロークやコード弾きで「ボディ全体が鳴る」感覚を重視したい方は、カッタウェイ無しモデルの方が満足度が高いかもしれません。 -
価格が高い場合がある
同じシリーズでもカッタウェイ付きは設計や加工に手間がかかるため、価格がやや高くなることがあります。予算に余裕があるかどうかも検討ポイントです。 -
デザインの好みが分かれる
カッタウェイは現代的なデザインなので、伝統的なルックスやクラシックな雰囲気を重視したい人には不向きな場合があります。逆に、個性的なギターが欲しい方にはおすすめです。 -
耐久性・メンテナンス面
カッタウェイ部分は構造的に強度が落ちやすく、ぶつけたり落としたりした際にダメージを受けやすいという弱点もあります。持ち運びや保管時には注意が必要です。
カッタウェイ付きアコギの選び方と注意点
- 実際に弾いてみることが大切カタログスペックや写真だけで決めず、必ず楽器店で実際に手に取ってみましょう。ハイポジションの弾きやすさ、ボディのフィット感、音の響きなど、実際に体感することで自分に合うかどうかが分かります。
- デザイン・種類の違いを比較ベネチアンとフローレンティン、どちらが自分の好みか、またギター全体のデザインとのバランスも確認しましょう。メーカーやモデルによってカッタウェイの深さや角度も違うので、見た目だけでなく実用性もチェック。
- 音質の違いを試聴同じモデルでカッタウェイ有り・無しを弾き比べられる場合は、必ず音の違いを確認しましょう。低音の響きや音量、全体のバランスが自分の好みに合うかどうかをしっかりチェック。
- メンテナンス・耐久性も考慮カッタウェイ部分の塗装や仕上げが剥がれやすい場合もあるため、定期的なクリーニングや湿度管理が大切です。特に日本のように四季がはっきりしている地域では、湿度変化による木材の収縮や膨張に注意しましょう。
カッタウェイはどんな人におすすめ?
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ソロやリードプレイを多用する人
ハイポジションを頻繁に使う奏者や、テクニカルな演奏を目指す人には大きなメリットがあります。 -
エレキギターから持ち替える人
エレキで慣れている方は、カッタウェイ付きアコギの方が違和感なく演奏できる場合が多いです。 -
初心者でもOK
高音域の演奏がしやすいため、初心者でも幅広い曲やアレンジに挑戦しやすく、演奏技術の向上にもつながります。 -
ステージ映えや個性的なデザインを求める人
カッタウェイのあるギターは見た目のインパクトも強く、ライブや動画映えを狙いたい方にもおすすめです。
カッタウェイが不要なケース
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ストローク中心・コード弾きがメインの人
ハイポジションをほとんど使わない場合は、カッタウェイ無しの方が音の響きや伝統的なデザインを楽しめます。 -
音の鳴りや響きを最優先したい人
豊かなボディ鳴りや低音の響きを重視するなら、カッタウェイ無しモデルが最適です。 -
クラシックなルックスを重視する人
伝統的な見た目や、歴史あるギターの雰囲気を大切にしたい方にはカッタウェイ無しが合います。
ユーザーの声
実際にカッタウェイ付きアコースティックギターを使っているギタリストからの意見
- 「ハイポジションでのフレーズが圧倒的に弾きやすい」
- 「ライブでのパフォーマンスが映える」
- 「カッタウェイで演奏の幅が広がった」
一方で、ノンカッタウェイ仕様のアコースティックギターの演奏では下記のような意見も見受けられます。
- 「ストロークでの迫力や低音の深みはカッタウェイ無しモデルの方が好きだ」
- 「音の厚みはやっぱりノンカッタウェイ」

カッタウェイは演奏性の高さが魅力、ノンカッタウェイは音の深みに惹かれる――使い方や好みによって評価が分かれる部分ですね。
実際の使用感
私自身、現在はカッタウェイ付きとカッタウェイ無し、両方のアコースティックギターを所有していますが、演奏する曲やシーンに応じて使い分けることで、それぞれのモデルが持つ魅力や特性をしっかりと実感できています。

ちなみに、私が最初に購入したギターは、正直なところ“見た目のカッコよさ”に惹かれて選んだカッタウェイ仕様のものでした(^_^;)
当時は演奏スタイルや音の傾向などを深く考えず、初心者として「なんとなく好き!」という直感だけで決めてしまった部分が大きかったと思います。
しかし実際に使っていく中で、カッタウェイ仕様による高音域の弾きやすさや、逆にカッタウェイがないモデルの豊かな響きなど、両者のメリットとデメリットを少しずつ体感できるようになりました。
今では、それぞれの良さを活かして用途に合わせて自然と使い分けるようになっています。
どちらかに大きな不満を感じたことはありませんし、どちらかを選んだからといって後悔したことも一度もありません。
結局のところ、「カッタウェイがある方が良い」「無い方が正解」といった決まりはなく、最終的には自分のスタイルや好みに合わせて選べばそれで良いのだと感じています。
しいて言うなら、弾き語りや伴奏がメインの方にはノンカッタウェイ、ソロギターやリードギターを弾く方にはカッタウェイ仕様が向いていると言えるでしょう。
また、初心者の方は始めのうちはハイポジションをあまり使わないと思いますので、ノンカッタウェイが良いかもしれません。
とはいえ、見た目やフィーリングを大切にして選んでも全く問題ありません。
実際に手に取って「これだ」と感じるギターが、あなたにとって最高の一本になるはずです。

実際私も、今は弾き語りで演奏する時は、その日の気分でギターを選んでいますよ(^^)
まとめ
アコースティックギターのカッタウェイ仕様は、ハイポジションの演奏性を格段に高めてくれる非常に便利な構造です。
特に、12フレット以降の高音域での演奏がスムーズになり、ソロやリードプレイ、フィンガースタイルなどを多用する方には強い味方となります。
一方で、カッタウェイによってギターのボディが一部削られることで、共鳴空間がやや狭くなり、音量や低音域の響きに微妙な影響が出る場合があります。
これは、ストローク中心で“ボディ全体で鳴らす”感覚を重視する方にとっては気になるポイントかもしれません。このように、カッタウェイの有無には演奏性と音響特性の間にトレードオフが存在しています。
ですが、「どちらを選ぶのが正解か?」という問いに対しては、唯一の答えがあるわけではありません。
どちらが優れているかというよりも、それぞれに異なる魅力があり、あなたの演奏スタイルや目指す音楽、好みのルックス、さらにはどんなシーンでギターを使いたいのかといった要素によって、ベストな選択肢は自然と変わってきます。
たとえば、ステージでのパフォーマンスやテクニカルなフレーズを多用する場合は、ハイポジションに強いカッタウェイ付きのモデルが心強い相棒になります。
反対に、アコギらしい自然な響きや温かみのあるサウンド、クラシックな外観を大切にしたい方には、カッタウェイ無しのモデルの方が満足度が高くなるでしょう。
そして何よりも大切なのは、ギターを選ぶときに「自分がこのギターを弾いていてワクワクするかどうか」という感覚です。
スペックや理屈も大切ですが、最終的には“好き”という直感が、長く愛用できる一本との出会いに繋がることが多いものです。
ぜひ、楽器店でいろいろなモデルを実際に試奏してみてください。
手に持ったときのフィット感、音を出したときの響き、自分の指に馴染む感触など、五感をフルに使って、自分にとって本当にしっくりくる一本を探してみましょう。
その出会いが、あなたの音楽をより自由に、より豊かにしてくれるはずです。
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