ホラー漫画好きにはたまらないニュースが届きました!
2025年7月25日(現地時間)、アメリカ・サンディエゴで開催されたコミコンで、伊藤潤二さんがアイズナー賞のホール・オブ・フェイム(殿堂)に選ばれたのです。
この殿堂入りは、日本人では手塚治虫、萩尾望都、中沢啓治等に続く偉業。しかもホラーというジャンルからの選出は史上初。
30年以上にわたり恐怖と美しさを描き続けてきた伊藤さんの歩みが、ついに世界最高峰の舞台で讃えられました。この歴史的な快挙をたたえ、そして伊藤潤二さんの魅力をもっと知ってもらいたいと思い、この記事を書きました。ぜひ最後まで読んでみてください。
アイズナー賞ってどんな賞?
伊藤さんが受賞したアイズナー賞は、アメリカの漫画界を代表する作家ウィル・アイズナーの名前を冠した、国際的に最も権威あるコミック賞のひとつ。
・毎年、サンディエゴ・コミコンで授賞式が行われる
・「最優秀作品賞」「最優秀作家賞」「最優秀翻訳作品賞」など多数の部門がある
・ホール・オブ・フェイム(殿堂入り)は、その年だけでなく、業界に長期的な功績を残した作家が選ばれる特別な名誉
つまり、単発の人気ではなく、コミック文化に深い影響を与えた人物だけが選ばれる特別枠なのです。
伊藤潤二さんのキャリアと世界的評価
伊藤潤二さんは1963年、岐阜県中津川市生まれ。
本業の歯科技工士を続けながら漫画を投稿し、1987年『富江』で鮮烈なデビューを飾りました。
・見た瞬間にゾワっとする不気味な造形
・日常の静寂に潜む異質な恐怖
・そして“恐ろしいのにどこか美しい”絵の魅力
こうした唯一無二の表現で、国内はもちろん海外の読者も虜にしています。
言語が違っても、ビジュアルだけで本能的に怖さを感じさせるのが大きな強みです。
過去にもアイズナー賞を複数受賞
今回の殿堂入りは、突然の快挙ではありません。
伊藤潤二さんは過去にもアイズナー賞で複数回受賞しています。
・2021年『地獄星レミナ』が最優秀アジア作品賞、さらに最優秀作家/アーティスト賞のダブル受賞
・2022年『死びとの恋わずらい』が再び最優秀アジア作品賞
特に英語版を手がけるVIZ Mediaの存在は大きく、翻訳出版が本格化したことでアメリカやヨーロッパのファンが急増。
さらにNetflixのアニメシリーズも話題になり、“JUNJI ITO HORROR”というブランドが世界に浸透しました。
なぜ殿堂入りに選ばれたのか
今回、伊藤さんがホール・オブ・フェイムに選ばれた理由は明確です。
・日本のホラー文化を世界へ広める架け橋になった
・デビューから30年以上、第一線で創作を続けてきた
選考委員の声によると、伊藤作品は“視覚だけで恐怖を感じさせる独特の静寂”が特徴で、他の作家には真似できない世界観が国際的にも高く評価されています。
数少ない日本人作家の系譜に、名を連ねた伊藤潤二
アイズナー賞ホール・オブ・フェイムに名を連ねた日本人作家は非常に限られています。手塚治虫、高橋留美子、萩尾望都といった伝説的な作家たちの後に、伊藤潤二さんが新たに殿堂入り。
ホラー漫画というジャンルからの選出はこれが初めてで、日本の漫画史においても特別な出来事です。
伊藤潤二さんのメッセージ
授賞式に寄せたビデオメッセージでは、伊藤さんは次のように語りました。
💬 伊藤潤二さんのコメント
「偉大な先輩方と並ぶことができ、大変光栄です。これまで一作一作、手を抜かずに描いてきたことが評価されたのだと思うと、感謝の気持ちでいっぱいです。」
SNS上では海外ファンから祝福コメントが殺到し、授賞式の瞬間はX(旧Twitter)のトレンド入り。
ホラー漫画という niche(ニッチ)なジャンルが、いまや世界のメインカルチャーに認められたことを象徴する出来事でした。
海外ファンに愛される理由
伊藤潤二作品は、海外では“言葉の壁を超えるホラー”として受け入れられています。
・コミックだけでなくアニメ・フィギュアなどカルチャー全体に波及
・ホラー映画監督やアーティストにも影響を与えるビジュアルセンス
特に欧米のファンは「怖いのに美しい」「キャラクターの表情が忘れられない」と語る人が多く、サイン会では長蛇の列ができるほどの人気ぶりです。
今後の展開は?
今回の殿堂入りで、さらに
・これまで未翻訳だった作品の海外出版
・アニメ・映画化のプロジェクト
・海外での個展やイベント開催
など、伊藤潤二作品の世界的展開が加速しそうです。
ホラー漫画がどこまで国際的に広がるのか、今後の動きにも注目が集まります。
伊藤潤二初心者におすすめの作品ガイド
殿堂入りを機に、伊藤潤二さんの作品を読んでみたいと思った方も多いはず。
でも「どれから読めばいいの?」という人も多いと思うので、初心者でも入りやすい代表作を3つピックアップしました!
『富江(とみえ)』
伊藤潤二さんのデビュー作にして、彼の名を世に知らしめた不朽の名作。
美少女・富江はなぜか周囲の男性を狂わせ、やがて恐ろしい結末を迎えます。そして彼女は何度殺されても蘇る――。
• 連作短編になっていて読みやすい
• 恐怖だけでなく、妖しい魅力を感じるキャラクター
• 実写映画化もされ、海外でも特に人気が高い
『うずまき』
日本の小さな町に“渦”が原因の奇妙な現象が次々と起こる物語。
住民は少しずつ渦に取り憑かれ、やがて町全体が異様な運命に飲み込まれていきます。
• “渦”という一見単純なモチーフから広がる不気味さがクセになる
• ビジュアルのインパクトがすごい!
• 海外でカルト的人気があり、アニメ化も進行中
『死びとの恋わずらい』
恋と死が交錯する短編ホラー。
恋人が死んでしまったらどうする?愛が深すぎるがゆえに起こる狂気を描いた物語が中心です。
• 恋愛要素があるのでホラー初心者でも入りやすい
• 恐怖の中に人間の切なさも感じられる
• 2022年のアイズナー賞も受賞した話題作
どれから読めばいい?
ホラーが苦手じゃなければ『富江』が入りやすく、“ビジュアルの怖さ”を楽しみたいなら『うずまき』がおすすめ。
恋愛ホラーなら『死びとの恋わずらい』が読みやすいですよ。

正直、ホラーは苦手で手が出しにくいと思っていた私ですが、伊藤潤二作品は“ただ怖いだけじゃない”と感じました。
ページをめくると、怖いのに目が離せない絵の美しさや、どこか人間らしいテーマがあって、ホラーが得意じゃない人でも興味がわくと思います。
ホラー漫画が“文化”として認められた象徴的な瞬間
伊藤潤二さんのアイズナー賞殿堂入りは、
・ホラー漫画としては初めての選出であり、ジャンルの価値を押し上げた出来事
・これまでニッチとされてきたホラーが、世界的な文化・芸術として認められた象徴的な瞬間
・日本の漫画表現の幅広さと、言語や国境を超える力を改めて示す快挙
これまで“怖いもの好きのための娯楽”として捉えられがちだったホラー漫画が、美しさや深いテーマ性を備えた芸術的な表現として評価されたのは、とても大きな意味があります。
恐怖の描写だけでなく、人間の本質や感情の奥深さまで描く伊藤潤二さんの作品だからこそ、世界中のファンを惹きつけたのだと思います。
この殿堂入りをきっかけに、ホラー漫画がさらに多くの人に読まれ、そして新たな才能が生まれる未来にもつながるかもしれませんね。
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